先生の傘(シリーズ人間4)
著者:比嘉ツル子 聞き手:孫
定価:本体1500円+税
A6文庫判変形/ソフトカバー/112ページ
ISBN 978-4-911688-05-2 C0095
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沖縄で暮らす祖母から、孫への、戦前〜戦後のころの語り。
「うん」「うんうん」
ぽつぽつとしたことばに、頷きがリズムを生み、ただただぐぐぐっと引き込まれる。
「人間」を冠するシリーズの、核心とも感じられる、聞き取り。
(以下、出版社の紹介文より引用)
沖縄戦を生き抜いた93歳、小学校6年生のころ──。
絶望のなかにも、なんてことのない日常や心躍る瞬間があった。1933年生まれの女性が、戦時下の日々を語る。孫による聞き取り。
もう土曜日曜でも寂しい
兄ふたり兵隊に行っているしね
姉はお嫁に行っているしね
父は私、迎えに来て撃たれて死んでいるし
母親は幼稚園のときに死んでいるしね
結局、六年生からひとりぼっちだったのよ
・目次
牧師さん
首里城
煮炊き
首里高校
バナナと兵隊さん
一高女に行っていたら
一九三三年
墓地から見えた山
先生の傘
孫による振り返り
あとがきに代えて
・著者略歴
比嘉ツル子(ひが・つるこ)
1933年2月、沖縄県那覇市生まれ。4人きょうだいの末っ子。父は多数の従業員を抱え事業を営む。母とは5歳で死別。小学6年生で父親を失い、ひとりで生活をはじめる。幼少期から俳句をたしなみ、生涯の趣味となる。90代にして歯はすべて自前。
・孫による振り返り(一部抜粋)
祖母のことは親しみを込めて「ツルちゃん」と呼んでいます。天真爛漫で人懐っこく、まるまるとした顔いっぱいの笑顔でコロコロと笑う少女のような人です。沖縄の太陽のもと、四人きょうだいの末っ子として伸びやかに育っていくはずでした。
「父はココ(こめかみ)とココ(脇腹)を撃たれて死んだの」と、これまで何度聞いたか分かりません。その箇所を正確に指さして、ツルちゃんは話します。お父さんはひとり疎開先の様子を確かめに出かけ、子どもたちのもとへ戻る途中で撃たれました。「ツル子たちがもし自分を探しに出たら、この道しか知らないから」と、子どもたちの万が一を考えて進んだ先に、敵兵が待ち構えていました。
自分のために最愛の父が死んでしまった。その悲しみがあまりにも深く、繰り返し同じ話をするのだろう。そう思っていました。