秋刀魚41〈第二次的京都〉
発行:黒潮文化(台湾)
*中国語繁体字・日本語訳なし
ーーーーーーーーーー
台湾で刊行される〈日本紹介雑誌〉「秋刀魚」。41号は「二度目の京都」。
「西陣郵便局」(郵便局!)が印象的な表紙から、バーや銭湯、コーヒーショップ。編集や、場所づくりを担う人々にもインタビューした、日本的な「京都観光」からも海外からみた「京都観光」からも一線を画した特集です。
〜〜〜〜〜
台湾視点で特集される「日本」は普段見ている景色にまた違った印象を与えてくれます。
特集テーマも「京都の宿」や「グッドデザイン賞」などスタンダードなものから、「カレー」「コンビニ」「ガチャガチャ」「ラーメン」などのニッチな文化、はては、「下北沢」や「東北」、「香港で見つけた日本」などそこ?という地域特集まで。
言葉はすべて中国語繁体字ですが、紙面の雰囲気は楽しむことができますし、漢字をメインに据えたレイアウトの参考などにも。
もちろん、最近台湾に行けておらず実物が買えない方にも。
バックナンバーはこちら
https://habookstore.shop/?category_id=6044ab3f2438605725639047
サンプルは公式サイトもどうぞ。
(サイト)
https://qdymag.com/news/501
(出版元サイトより・今号の紹介文)
ひとつの町と二回出会う親しみさ —
今年の秋、初めての海外家族旅行として、私は二度目の京都を選んだ。家族旅行に京都を選ぶ人々は、その豊かな歴史やおもてなしに惹かれるか、または歳を重ねたことで、ようやく控えめで巧みな職人工芸を吟味できる身になったかと思う。そんななか、私は季節の境目で、両親の初の京都旅を案内した。木の葉がまだオレンジと緑が混在する、昼と夜の長さが同じの秋分の京都は気持ちよかった。私たちはノープランで馴染みあるお寺に、敬虔に挨拶したり、お気に入りのコーヒーショップに向かう途中、名前のないおにぎり屋に寄ったり、地元の人々に交ざって並んで買ったおにぎりを朝食にする。市場のお惣菜を買い集めた夕飯を、宿泊先の畳敷きリビングで、ビールを飲みながら漬物で舌鼓を打つ。
ごたごたしている観光名所に行かず、観光客で盛んでいる人気料亭も行かず、タイトなスケジュールを組んでなく、両親の初京都旅は、私の理想の「二度目の京都」だ。スポットを鵜呑みし、そろばんを弾く若頃と違って、今回は気に入った陶芸作品を買い、レストランで好みのお酒を注文し、観光客としてワクワクがありつつ、玄人に成りきってない30代の京都通になっている。訪ねたことのあるスポットでも、「行ったことあるし」の退屈ではなく、「また来られた」の親しみであった。古都京都と比べたら、誰もが若くて青い。何度訪ねても、京都の達人になる前に、レベル「二度目」であるだろう。
一期一会ならぬ、「一期二会」の気持ちで、《秋刀魚》は7年ぶりの京都特集を組んだ。京都を知り尽くしたい気合いを一旦忘れ、京都に一回以上、数回未満の旅人に向けて、今までにないストリートマップを用意した。散歩、自転車、日帰りのお出掛けスタイルで、ローカルの生活に少し寄り添ってみた。二度目のお伺いは、その町にいる友人にも会うべきだ。京都のカルチャーメディア「ANTENNA」とコラボし、京都駐在中、京都に移住した、または生粋な京都出身クリエイターたちを、編集長の堤大樹さんに紹介してもらった。彼らが作り上げた空間にて、京都古来の文化と新しいカルチャーの融合を感じられる。厚みある文化と歴史を養分にし、未来へ向けて、歴史ある京都が今どきの歩き方で進められたとも感じた。
面白いことに、京都以外の出身者は、京都のこと好きでいながら怖いと言う人が少なくない。好きなところは数えきれないが、怖いのは、いつか京都の裏ルールに反してしまわないかという。 今回はANTENNA編集部セレクトで、京都出身者5名により、「京都通検定」を作ってもらった。「あなたの知らないこと」をたくさん整理し、独立系本屋ではカードよりも現金支払いが多い、ミュージシャンたちが多く集まる中華は「龍門 本店」、京都の店員さんは客の顔を覚えるのが得意…などなど、京都の「内輪ネタ」は、京都人自ら語ってもらった。
人気を博した今年の春特集〈東京99〉に続き、爽やかな秋に入った今期では〈二度目の京都〉を題に、古都の声を聞いてみた。東京派でも京都派でも、再訪を機に、町に「ただいま」と、あいさつできる絆を深めよう。