


『本屋なんか好きじゃなかった』
著:日野剛広
出版:十七時退勤社
判型:A6(文庫)版、152頁
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千葉県の名チェーン書店「ときわ書房」勤務の、ベテラン書店員によるエッセイ・書評・日記集。
知る人ぞ知る、というのはあまり褒め言葉ではなく、その土地の人はだれでも知っている、が最良の言葉のはずだが、そうなるにはただただ時間がかかる。
さて、それで店主も千葉に住んでいたことがあるのだけれど、「ときわ書房は良い」というのは知っている。
何が良いかは本を読むよりも店を見た方がいいし、この本もそういう良さを描き出すようなものでは、少なくともそれだけの本ではない。長く書店で働いている人の、変わったことと変わらないこと。本や本屋、お客さんとのやりとり。
「あ、これを読んでも本屋の未来への希望とか、本屋の同業者たちの参考になるとか、そういうことは一切ありませんのであしからずご了承ください」(本文まえがきより)
多様な出版物や出版社がある、ということの本質的な良さを感じる、小出版レーベル十七時退勤社より刊行。