


『第一藝文社をさがして』
著:早田リツ子
出版:夏葉社
四六版変形、312ページ
装丁:櫻井久・中川あゆみ(櫻井事務所)
装画:小川哲
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戦前の出版社「第一藝文社」についての、個人的探求による評伝。
けっして伝説のとか幻のというわけではない、よくよく普通に存在していたはずの、ある意味歴史に埋もれていた出版社を、著者の情熱で古書、図書館など各種資料を収集して掘り起こしていきます。
出来上がったのは非常に骨太で美しい本。半透明のカバーに、本文は布装。
昭和の出版史を彩る、ある人物の記録です。
(以下、出版元の紹介文より抜粋)
第一藝文社(1936-44)は主に京都で活躍した戦前の出版社です。社主は中塚道祐。
彼のほかに社員はいませんでした。伊丹万作の最初の本(『影画雑記』、1937)や、アニメーション映画の評論の嚆矢ともいえる今村太平の『漫画映画論』(1941)、杉山平一の詩集『夜学生』(1943)などの名著を刊行した第一藝文社とはいったいどんな出版社だったのか? 著者は遺族に会いに行き、図書館と古書店をとおして、その秘密を時間をかけて、ひとつひとつ解き明かしていきます。
そこにはひとりの編集者と作家たちの出会いがあり、大きな戦争がありました。地味で、無骨で、読み応えのある類書のない評伝