



『100ものがたり』
著:いしいしんじ
出版:橙書店
判型:308頁、110×170㎜
2021年11月刊
ブックデザイン:おおはたあきこ(大畑広告準備室)
校正:おおかわひさのり
編集:たじりひさこ
印刷・製本:株式会社イニュニック
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2021年の『こわいな! 恐怖の美術館』展示のために書き下ろされた100編の短編を、一冊に集成。
いしいさん自身が熊本の土地を巡り集め、広げた作品。伝統的な物語が生まれる手法を用いて新たに創作された「おはなし」はまさに新しい百物語といえそうです。
(以下、出版元サイトより引用)
「ここにおさめられた『おはなし』は、2021年に熊本市現代美術館でひらかれた『こわいな! 恐怖の美術館』のために書きました。99編を展示し、好きな1編を持って帰ってもらうのです。書いていくうちこれは、一冊の本をめぐる物語でもある、とわかりました。こうして一冊にまとまって、すべての『おはなし』が喜んでいます。本もです。(いしいしんじ)」
いしいさんが熊本の土地をめぐり、お話を集めました。すべてのお話の舞台が熊本なので、住んだことのある人ならばきっと知っている場所が出てくるはず。もちろん知らない人にも楽しめます。熊本城、江津湖、阿蘇、荒尾競馬場、八千代座……橙書店も舞台のひとつです。主人公は黒くてだえん形の「くま」と、あじつけノリみたいな「くろ」。地震の大きな揺れで、でっぱったりへこんだりした、大きなギザギザのひびがある「くま」の前にまっくろの「くろ」が現われ、くまの怪我には、薬として『おはなし』が効くのだと言います。二人はお話を集める旅に出て……。ちょっぴり怖くて、せつなくも楽しくもあり。さいごまで読めば、読む人にも効能がある再生の物語。人々は大昔から、怖いとき、悲しいとき、いつも物語を口承で伝えてきました。それがいまでは本という形を持っています。本を開いて、「くま」と「くろ」と一緒に旅をしてください。